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第6話 2007-11-10
第6話


「・・・こんにちは。」



そう声をかけると、良彦はおそるおそるドアの隙間から中を覗き込んだ。


「はいはい、ちょっとまってください。」




いかにも、頼りなさそうな若い男が、のんびりとでてきた。


 手にはコーヒーカップを持っている。どうやら、本格的なモーニングコーヒーでも入れようとしていたようである。

「あなたがあの有名な探偵さんですか?」

良彦は相手の頼りなさに、ついそんなことを訪ねてしまった。

「あ、お客さんですか。ちょっとそこにかけて待っていてください。いま、先生をおよびします。」


やはり頼りない男は、探偵ではなくただの頼りない男だったようだ。

 良彦がそんなことを思っていると、奥から、いかにも探偵らしい格好をした、いかにも探偵らしい壮年の男が、いかにも探偵らしい歩き方で現れた。

「で、お金はあるのかな」

男が笑顔で話しかけてきた。

物腰は柔らかいが、有無を言わさない響きがある。

「はい。精一杯かき集めて持ってきました。これだけあれば足りるはずです。」


良彦は自信を持ってそう答えた。自分のそれまでの苦労と、その金額に本当に自信があったからである。

「あははは。おもしろいね、君。」

男が愉快そうに笑い出した。

「おもしろいジョークだよ。それで本物はどこにあるの?」



「え」



良彦はなにがおかしいかも分からず、「本物」とは何かもわからなかった。



「え」



今度は男がそう言った。


「もしかしてこれで全部なのかい?」


「・・・そうですが。」

良彦はそう答えながらかすかに嫌な予感がしていた。

そして、その予感は間髪を入れない、次の言葉で現実の物となった。


つづく

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